韓国のビッグ・ピンク・ミュージックから、19年新規リマスター&限定ペーパースリーヴでのリシュー。紙ジャケ仕様、インサート入、オビ付。アンノ・ドミニは北アイルランドのベルファスト出身のグループで、デイヴ・メルサー、ケニー・スコット、元ザ・ピープル(アイアー・アパレントの前身)のタイガー・テイラーの3人が中心となって70年に結成されている。ロンドンに移住して71年にアルバムをリリースしたが、程なく解散した。プログレ系のリスナーには、この後ジョーンズィーを結成することになるジョン&トレヴァー(ジプシー)・ジョーンズ兄弟が在籍していたことで知られているかも知れない。本作は、71年にUKデラムからリリースされた唯一のアルバムで、メンバーは、前述のメルサー、スコット、テイラー、ジョン&トレヴァーの5人編成、プロデュースはビリー・ケネディ。B級サイケ・ハード調、しっとりしたフォーク・ロック調、サイケ・ポップ調と、わりとゴッタ煮感十分のサウンドだが、1曲目のカヴァーも含め概ねザ・バーズ的アート・ロック系サイケ感で括れる印象。ヒッピー色の強いドラッギーなインプロや、楽曲の涼しげなメロウ感などは、アメリカのフラワー・ムーヴメント辺りへのオマージュという感じだが、そこにブリティッシュ的な煮え切らなさや湿った情感が交叉していて、わりと面白いことになっている。ジョーンズィーの文脈で聴くとスカされると思うが、演奏にもそこそこ味わいがあり、ブリティッシュ・ロックの深いところの1つとして、愛好家ならチェックしてみてもいいと思う。
輸入盤/限定プレス
(Psyche/Art Rock,Pops,Progressive / Paper-Sleeve CD(2019 Re-master) / Big Pink Music/Korea)