UK/EUのミュート/スプーン・レコードから、見開きデジ・スリーヴでのリリース。カンは、ミュージック・アカデミアの教師だったホルガー・シューカイとイルミン・シュミット、フリー・ジャズ畑のドラマーだったヤキ・リーヴェツァイトが、映画のサントラ制作の為に68年にケルンで結成したインナー・スペースを母体とするグループで、アカデミアでシューカイの生徒だったミヒャエル・カローリ加入後にカンに改名した(異説あり)。唯一無比の個性と先鋭的な音楽性を放ち、その後のプログレ、パンク、ニュー・ウェイヴ、テクノ等々、数多のミュージシャン達に影響を与えたジャーマン・サイケを代表するバンドの1つ。本作は、タイトル通り76年ドイツのニーダーザクセン州クックスハーフェンでのライヴ音源を収録した発掘ライヴ盤で、シュミット監修の下、劣化テープを最新技術でレストアしてリリースする『CAN:ライヴ・シリーズ』第3弾。メンバーは、シューカイ、カローリ、シュミット、リーヴェツァイトの4人編成。エイス「フロウ・モーション」をリリースした時期で、その前作「ランデッド」辺りからのモワ~っとダークな独特のセッション風サウンドを基調とした、サイケ、プログレ、ファンクのゴッタ煮インプロを展開。ファンクといってもハネないが粘っこい16ビートで、その意味では擬似というかインチキというか、垂れ流しテイストだが演奏性は高く、特にギター、ベース、ドラムのコール&レスポンスは非常に見事。その3者に、ねちっこくヒャラヒャラした音色で絡みながら隙間を埋めるキーボードのハマりもよく、いつの間にか始まってフっと終る感じの佇まいが殊の外素敵。取り留めがないようでいてちゃんと盛り上がるアンサンブルは素直にカッコよく、正しくサイケな好ライヴ盤と思う。
輸入盤
(Psyche/Progressive,Electronics,Blues,Funk / Digi-Sleeve CD(2021) / Mute/Spoon/UK,EU)