UKのスプーン・レコードから13年新規リマスターでのリシュー。音質はクリアで迫力もあってよい。カンは、ミュージック・アカデミアの教師だったホルガー・シューカイとイルミン・シュミット、フリー・ジャズ畑のドラマーだったヤキ・リーヴェツァイトが、映画のサントラ制作の為に68年にケルンで結成したインナー・スペースを母体とするグループで、アカデミアでシューカイの生徒だったミヒャエル・カローリ加入後にカンに改名した(異説あり)。唯一無比の個性と先鋭的な音楽性を放ち、その後のプログレ、パンク、ニュー・ウェイヴ、テクノ等々、数多のミュージシャン達に影響を与えたジャーマン・サイケを代表するバンドの1つ。本作は、68年のファースト「モンスター・ムーヴィー」レコーディング時のアウトテイク・マテリアルを収録したアルバムで、81年にUKスプーンからリリースされた。メンバーは、シューカイ、シュミット、リーヴェツァイト、カローリ、マルコム・ムーニーの5人編成で、ボーカルは全編ムーニー。ファーストに何ら引けを取らない、ヴァイオレントなヘヴィネスが炸裂するカッコいいナンバーが並んでいて、ファーストやセカンドのジャンクな炸裂感が好きな人は文句なしに楽しめるだろう、もう1つのファースト的サウンド。この時期の、スタジオに入ってからセッションで曲を創り上げていく感じがよく出ていて、全編に溢れる雑多なゴッタ煮感とエネルギーの屈折した爆発感は、ともかくもこのバンドならではの個性。全体に漂うアシッド感も申し分なく、アングラなブルース色と、初期衝動そのままのような破壊性が見事なマッチングを見せる、非常に正しくサイケな好盤と思う。カッコよし!。EUプレス盤。
輸入盤
(Psyche/Progressive,Blues / Jewel-case CD(2013 Re-master) / Spoon Records/UK,EU)