UKのスプーン/ミュートから、07年新規リマスターでのリシュー。カンは、ミュージック・アカデミアの教師だったホルガー・シューカイとイルミン・シュミット、フリー・ジャズ畑のドラマーだったヤキ・リーヴェツァイトが、映画のサントラ制作の為に68年にケルンで結成したインナー・スペースを母体とするグループで、アカデミアでシューカイの生徒だったミヒャエル・カローリ加入後にカンに改名した(異説あり)。唯一無比の個性と先鋭的な音楽性を放ち、その後のプログレ、パンク、ニュー・ウェイヴ、テクノ等々、数多のミュージシャン達に影響を与えたジャーマン・サイケを代表するバンドの1つ。本作は、69年にドイツのミュージック・ファクトリーから自主制作盤としてリリースされたファースト・アルバムで、メンバーは、シューカイ、シュミット、リーヴェツァイト、カローリの上記の4人に、それまで全く歌を唄ったことのない黒人青年マルコム・ムーニーを加えた5人編成。2トラックによるスタジオ・ライヴ録音で制作された、ヴァイオレントなハチャメチャ感とブルージーなハードネス、心地好いギラギラ感、狂気を感じさせる張りつめた空気感が爆発する、ジャーマン・ロック史上最大級のインパクトを放つアルバムの1つで、ブルース、ジャズ、クラシックをサイケで括った炸裂しっぱなしの楽曲と演奏は圧巻。まさに正しくサイケかつドラッギーだが、奇天烈なアイデアや音色と上等な演奏のマッチングは殊の外見事で、既成のポップスやロック・ミュージックのスタイルをブチ壊さんとする、無上のカッコよさを体現する好盤と思う。素晴らしい!。EUプレス盤
輸入盤
(Psyche/Progressive,Blues / Jewel-case CD(2007 Re-master) / Spoon Records/UK,EU)