国内のディスク・ユニオンから、3面開きデジパックでのリリース。ユニヴェル・ゼロは、元アーカムのダニエル・デゥニが中心となって74年にブリュッセルで結成されたグループで、後に暗黒チェンバー・ロックと呼ばれるサウンド・スタイルをアール・ゾイと共に確立、80年代以降はRIO系のバンドとしても活動した。86年から97年までの解散期間を経て、04年頃から本格的に再始動して現在に至る。本作は、23年にリリースされたイレヴンス・アルバム(通算14枚目)で、14年テンス「燐光」から9年振りのスタジオ作品、ベルギーのサブ・ローザ盤にオビ・解説を付けた国内流通盤、ライナーは坂本理、邦題は「閃光」。メンバーは、前作からのダニエル、クルト・ビュデ、ニコラ・デシェンの3人に、ダニエルの息子のニコラ・デゥニを加えた4人がクレジットされているが、全曲作曲でキーボード、ドラム、パーカスをマルチに熟すダニエルを軸に、曲によって他の3人が適時参加するスタイルで、ダニエルとディディエ・デ・ロースの共同プロデュース。曲によって編成の異なる変則スタイルだが、ダニエルのキーボードとドラムを主体としたエレクトロニクス・チェンバー的な要素を織り交ぜながらも、前作のロック調バンド感をそれなりに担保していて、何というか、ダーク系チェンバー・プログレ方面として普通にカッコいい。さらに、初期ヘンリー・カウやナショナル・ヘルス辺りにも通底するカンタベリー色も残っていて、その意味でもやはり「燐光」の延長線上にある印象で、ダニエルのキレとノリのよいドラムを核としたアンサンブルの濃密さも十分。ロック感溢れる重厚なサウンドの好盤と思う。
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ディスク・ユニオン盤
(Psyche/Chamber,Experimental,Progressive / Digi-Pack CD(2023) / Disk Union,Sub Rosa/Japan,Belgium,EU)