フランスのデュール・エ・ドゥから、見開きデジスリーヴでのリリース。ポアルはリヨン出身のグループで、アントワーヌ・アルネラ、ボリス・カソーヌ、ギレム・メイエの3人によって05年に結成されている。08年に配信のみでファースト、11年にCDと配信でセカンド・アルバムをリリース、エトロン・フー方面のお下劣さとサムラ・ママス方面のユーモラスさを掛け合わせたような、バカテクな演奏とサウンド、モンティ・パイソン方面のビザーレ&ナンセンスなヴィデオ・クリップが、一部の巷で話題となった。上田純子は東京都出身の薩摩琵琶奏者&声明者&マルチ奏者で、東京音楽大学で作曲を湯浅譲二等に、薩摩琵琶を鶴田錦史に、天台声明を海老原広伸に師事して学んだ。88年以降はオランダとスペインを拠点として活動している。本作は、22年にリリースされたポアルと上田の共演アルバムで、メンバーは、前述のアルネラ、カソーヌ、メイエの従来のトリオに、ブノワ・ルコント、上田を加えた5人編成。第1部(1~3曲目)は「九条錫杖(くじょうしゃくじょう/厄除けの儀式)」、第2部(4,5曲目)は「義経(壇ノ浦の戦い)」の二部構成で、どちらも上田の謡と声明、薩摩琵琶を軸に、ポアルの4人がキテレツなリフ&フレーズ、音、ノイズ、声などで適時絡みながら徐々にアンサンブルを整えていくスタイル。凛として揺るぎない上田の謡と声明は、正しくおどろおどろしくて日本的で、それを損なうことなくシアトリカルなチェンバー・プログレ調の演奏を展開するポアルのハマりも見事で、何というか非常にカッコいい。一噌幸弘の返シドメ辺りとはまた違った変態感の好盤と思う。素晴らしい!。
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輸入盤
(Psyche/Avant-Garde,Chamber,RIO,Progressive / Digi-Sleeve CD(2022) / Dur Et Doux/France)