UK/EUのディスタンス・レコードから、限定ペーパースリーヴでのリシュー。見開き紙ジャケ仕様の2枚組。ドン・ブラッドショウ・レザーは正体不明のキーボーティスト兼マルチ奏者で、一応イギリス人という通説だがアメリカ人説もあり。さらにはジ・エニドのロバート・ジョン・ゴドフリーの変名説もあったが、どうやらそれは違うらしい。本作は、72年にUKディスタンス(おそらくブラッドショウ・レザーの自主レーベル)からリリースされた唯一のアルバムで、オリジナルLPは結構なレア・アイテムとしてプログレ系コレクターには知られる作品。一部で妖しい女性の声が入る他は、ピアノ、オルガン、メロトロンを軸に、時折パーカスやギター、自身の声を絡めたブラッドショウ・レザー1人による多重録音。古典派とロマン派がゴタ混ぜになったようなミニマリスティックなピアノ、ドローンと弾きまくりが交叉するオルガン、ノイジーに高速で弾きまくるメロトロン、インチキ感十分のパーカス等が、おそらくインプロ基調で妙な盛り上がりを見せる異様なサウンド。現代音楽方面の実験色も内包した、擬似クラシック的でマイナー調の長尺な楽曲を、夜な夜な変人が1人で昂揚しながら演奏しているようなイメージで、全体が呪術的な空気感に収束するキテレツな胡散臭さ満点。それなりにクラシックの素養はあると思われ、概ね鍵盤群はちゃんと弾けていてメロトロンもたっぷりと登場するが、この一切叙情性のない速弾きメインのメロトロンの無理な使い方は、メロトロン好きプログレ愛好家一般にはウケないかも知れない。わりと強烈なアングラ臭とインパクトを放つ、怖いもの聴きたさで面白い1枚。
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輸入盤
(Psyche/Experimental,Progressive,Classic / Paper-Sleeve 2CD(2022) / Distance Records/UK,EU)