USAのサザン・ロード・レコーディングスから、19年新規リマスター&デジパックでのリシュー。カスパー・ブレッツマンはヴッパータール出身のギタリストで、何よりペーター・ブレッツマンの息子として知られていると思う。82年にディー・アッリイエルンでデビュー後、カスパー・ブレッツマン・マサカー、ノーホーム等の自身のバンドの他、ソロ、父親やペイジ・ハミルトン、FMアインハイト等とのデュオ、セッションなど、幅広い活動を展開している。本作は、89年にドイツのツェンゾール/マラート・レコードからリリースされたカスパー・ブレッツマン・マサカーのセカンド・アルバムで、メンバーは、前作からのカスパー、エドゥアルド・デルガド・ロペスの2人に、新たにフランク・ノイマイアーを加えたトリオ編成。前作の延長線上にある轟音ポスト・ロック/オルタナを展開していて、スタジオでの一発ライヴ録音の後で語りボーカル・パートを重ねるやり方も含め、ノイジーなギターのやかましさやとパワー・トリオ的ヴァイオレント感もほぼ前作と同じ。要は、前作でのこのバンドらしさはほとんどそのまま担保されていて、エネルギーが爆発し続ける鋭角な演奏を堪能出来るが、ノイズ感を前面に出しながらリフやフレーズ、メロディを弾くという離れ技をギターがやっていて、その意味ではかなり達者かつ饒舌で面白い。もしジミヘンが生きていて、アヴァンギャルド方面にアプローチしたら、こんな感じになっていたかも知れないという印象のサイケ感を放つ、文句なしの大好盤と思う。
輸入盤
(Psyche/Experimental,Alternative,Post Rock / Digi-Pack CD(2019 Re-master) / Southern Lord Recordings/USA)