USAのサザン・ロード・レコーディングスから、19年新規リマスター&デジパックでのリシュー。カスパー・ブレッツマンはヴッパータール出身のギタリストで、何よりペーター・ブレッツマンの息子として知られていると思う。82年にディー・アッリイエルンでデビュー後、カスパー・ブレッツマン・マサカー、ノーホーム等の自身のバンドの他、ソロ、父親やペイジ・ハミルトン、FMアインハイト等とのデュオ、セッションなど、幅広い活動を展開している。本作は、88年にドイツのツェンゾール/マラート・レコードからリリースされたカスパー・ブレッツマン・マサカーのファースト・アルバムで、メンバーは、カスパー、エドゥアルド・デルガド・ロペス、ヨン・ボイトのトリオ編成。概ね、カスパーのやかましい轟音ギターを軸とした、ポスト・ロック/オルタナ方面のサウンドを展開していて、ノイジーなギターとパワー・トリオ的なリズム隊、アヴァンギャルドな空気感は、例えばフレッド・フリスのマサカーの系譜にも通じる印象。圧倒的な存在感のギターは、炸裂フリー・ジャズのビッグ・ネームだった父親にしてこの子ありという感じで、ヴァイオレント感十分のエネルギーの爆発は非常に圧巻。ザクザクとした縦ノリのリズムが、3人が一体となって疾走するノリのよいバンド感に収束しながら、硬質なインダストリアル調の炸裂を繰り返す演奏は素直にカッコよく、ともかくもヘヴィで濃密。ベルリンのFMPスタジオでライヴ録音して、後で語りに近いボーカル・パートを一部に乗せたとあり、このノリ一発的なラウドさは痛快で、この線としては正しくサイケな大好盤と思う。
輸入盤
(Psyche/Experimental,Alternative,Post Rock / Digi-Pack CD(2019 Re-master) / Southern Lord Recordings/USA)