オーストリア/EUのヤンカ・インダストリーから、デジパックでのリリース。ブルーブルートは、オーストリア人ギタリスト兼エンジニアのクリス・ヤンカ(ex.ブレントヴェルク,トラフォ,etc)と、アメリカ人ドラマーのマーク・ホルブ(ex.レッド・ビブ,パーリンノイズ,etc)が、女性テルミン奏者のパメリア・スティックニーと13年にウィーンで結成したグループ。本作は、22年にリリースされたフォース・アルバムで、メンバーは、1~6曲目が前述のヤンカ、ホルブ、パメリアのトリオ編成、7~11曲目がニコラ・ハインを加えた4人編成。前半(1~6曲目)は、ヤンカのギターとミディ・オーケストラを軸に、テルミンとドラムが適時ノイズやリズム・パターンで装飾するスタイルで、セッション感は担保されているがある程度決め事に則ったチェンバー・ロック調サウンドを展開。ギスギスした空気感の音色や楽曲のダーク感は、ヘンリー・カウ、アート・ベアーズ、スケルトン・クルー、ユニヴェル・ゼロ辺りのそれを継承するRIO系チェンバー感が全面に顕われていて、インプロも交えたアンサンブルも透徹感十分で素直にカッコいい。ハインがオペレーター&ギタリストとして加わった7~11曲目は、ヤンカが開発したAI(自動演奏)オーケストラを、インプロが出来るようにハインがオペレーションしながら全員で即興演奏を試みたということらしく、アンサンブルが必ずしもカオティックにはなり過ぎず、どちらかというとドローン方面に収束する結果になっていて、それはそれでちょっと意外で面白い。AIロボットとの即興演奏の試みという来たるべき流れは、今後何かしらのうねりとなるや否や。
輸入盤
(Psyche/Chamber Rock,Experimental,Post Rock / Digi-Pack CD(2022) / Janka.Industries/Austria,EU)