ベルギーのオフ・レコードから、見開きデジスリーヴでのリリース。ピエール・フェルフルーセムはベルギー人ギタリスト兼ベーシスト兼プロデューサーで、エックス・レッグド・サリー、Aグループ、フラット・アース・ソサエティ(FES)、キング・オブ・ベルギー等での活動の他、数多のソロ・アルバムもリリースしている、ベルジャン・プログレ系の知る人ぞ知る存在。本作は、24年にリリースされたアルバムで、メンバーは、フェルフルーセム、ブリュノ・ファンシナ(ex.カカ,リトル・ドッツ,ピエール・フェルフルーセム・グループ,etc)、トゥン・フェルブリュッジェン(ex.カカ,チェイシング・ペンギン,etc)、エリー・グレーメの4人編成。概ね、サイケなストレンジ感内包のジャズ・ロック調サウンドを展開していて、ベース、ギター、キーボードをマルチに熟すフェルフルーセムを中心に多重レコーディングで構築してるのだが、ファンシナとフェルブリュッジェンがFESの僚友ということもあってか、殊の外バンド感が担保されたノリのよいアンサンブルを堪能出来る。裏スリーヴに『2台のドラムと4本のサックスを試みる』とあり、あまりラテン色が強くないニュアンスのパーカッシヴさで適度に空間を保つツイン・ドラムに乗せて、ザッパ調ギターやストレンジなキーボード群、太いベース、分厚いサックス群が切り込んでくる感じは、ユーモラスかつ意外性があって非常に面白い。時折聴こえるフェルフルーセムの変声で喋ってるようなボーカルも含め、全体にある種の人を喰った感じの変態感に収束していくというか、楽曲、アレンジ、演奏のどれもよく練られていて上等。聴き込むにつれスルメのように味わいが増す、聴き応え十分でカッコいい好盤と思う。ともかくもこの人は面白い。
輸入盤
(Psyche/Progressive,Post Rock,Strange / Digi-Sleeve CD(2024) / Off Records/Belgium)