USAのライオン・プロダクションから、デジパックでのリシュー。ギー・スコルニクはパリ出身のシンガー・ソング・ライターで、67年にポップス・シンガーとしてデビュー、2枚のシングルをリリースしたが、60年代末頃からドラッグ・カルチャーや東洋神秘思想に傾倒して、よりサイケな音楽性にシフトした。本作は、71年にフランスのパーロフォンからリリースされたファースト・アルバムで、ルイ・ポーウェルの小説「ザ・モーニング・オブ・ザ・マジシャンズ」をモチーフとしたコンセプト・アルバムのようだ。スコルニクはボーカルとキーボードを担当していると思われるが、オーケストレーションのイヴォン・ジュリアン以外はメンバーのクレジットがなく、ギター、ベース、ドラム等が誰なのかは不明。わりとキャッチーな楽曲にサイケなSEや音処理を絡め、少しプログレ色のある凝ったアレンジで展開していて、スコルニク自身のLSD体験を音像化するという試みでもあるようだが、カオティックさや過激さはなく、例えば同時期のセルジュ・ゲーンズブル辺りをもっとアート・ロック寄りにしたような印象。全体に丸みのある柔らかいサウンドで、エレガントなピアノやハープシコード、メロトロン、アコースティック・ギター、くぐもり感のあるしつこくないオーケストラに、饒舌なベースとタイトなドラムが絡む感じは、カンタベリー的なオシャレ感も放っている。随所で切り込んでくるブルージーなファズ・ギターがアクセントになっていて、バンド感もあって演奏はカッコよく、アイデアも豊富で飽きずに楽しめて面白い。スリーヴも含めかなり雰囲気のよい好盤と思う。
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輸入盤
(Psyche/Art Rock,Progressive / Digi-Pack CD(2013) / Lion Productions/USA)