USAのハウス・マウンテンから、ペーパースリーヴでのリリース。パルス・エミッターは、オレゴン州ポートランドを拠点とするコンポーザー兼シンセ奏者のダリル・グレッチュのソロ・ユニットで、グレッチュ名義も含めると02年頃からCDやEP、カセット・テープ、配信等々で100枚を超える作品をコンスタントにリリースし続けている。本作は、22年にリリースされた只今のところ新作で、全編グレッチュ1人によるシンセ&エレクトロニクス・サウンド。いわゆる『ポスト・ベルリン・スクール系』と評される、タンジェリン・ドリームやクラウス・シュルツェの系譜にサイバネティックスなセンスを加味した方面で、その意味ではウィリアム・ギブソン以降のSF文学的世界観にも近似する印象。スペイシーなドローン空間に、シュルツェ的ホワイトノイズが飛び交い、タンジェリン的情感のメロディが浮遊していて、各フラグメントの使い方が熟れていて上手く、流していて非常に心地好い。これでシーケンサーがリズムを刻めば、ほとんどタンジェリンやシュルツェという感じだが、あくまでシーケンサーは使わずに、短いリフやフレーズ、ノイズ音を巧みに繋いだり繰り返したりして、ミニマル的要素も内包したアンビエントなサウンドスケープを構築。少しプログレ調のリフやフレーズが悪くなく、全体に暗過ぎず明る過ぎずの淡い情感が持続していて、単なるニュー・エイジ系とは一味違う濃密な仕上がりは見事。タンジェリンやシュルツェのエッセンスも含め、優れて瞑想的なメディテーション・ミュージック系&シンセ・プログレ系の好盤と思う。
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輸入盤
(Psyche/Electronics,Drone,Ambient / Paper-Sleeve CD(2022) / Hausu Mountain/USA)