ドイツのMG.アートから、デジパックでのリリース。マニュエル・ゲッチングはベルリン出身のギタリストで、何よりアシュ・ラ・テンペル/アシュ・ラでの活動で知られていると思う。エレクトロニクス&アンビエント音響系やテクノ&ハウス系ミュージシャン達に、現在も広く影響を与えリスペクトされ続けるビック・ネーム。本作は、97年9月6日にザクセン州のムルデ川近郊で行われた、野外インスタレーション・イベント(2mの鏡34枚をただ畑の中に並べたものだったらしい)の際に即興演奏された「ディー・ムルデ(1~4曲目/40分)」を再構成したものと、81年レコーディングのベーシック音源に04年にギターを加えた「HP・リトル・クライ(5曲目/32分)」をカップリングしたもの。「ディー・ムルデ」は、基本的にエレクトロニクスのみの演奏で、アタックの弱いシーケンサー空間と、ちょっと哀愁のあるエレガントなシンセ・フラグメントで構成されたクラブ/ハウス系のナンバー。宙吊りアンビエント・ノイズとスタイリッシュなハウス色が同居していて、耳触りもオシャレな印象。「HP・リトル・クライ」は、モアレ・ドローン空間に爪弾きギターが淡々と流れるアンビエント・ナンバーで、例えばイーノのオブスキュア・シリーズをギターでやっているような、プカプカした浮遊感サウンドという印象。遠くで鳴っているような薄いシンセ空間に、いつ果てるとも知れぬ淡い情感のギター・ソロが、フワフワと漂いながら浮かんでは消えてゆく感じ。この『ゆらぎ』は、ともかくも絶品の心地好さで素晴らしい!。
輸入盤/デッドストック入荷
(Psyche/Electronics,House,Drone,Meditation / Digi-Pack CD(2005) / MG.Art/German)