ドイツ/UKのメトロン・レコードから、テクスチャー・エンボス紙＆見開きデジスリーヴでのリリース。リ・イーレイはおそらく上海出身の電子音楽家＆パフォーマーで、19年頃からロンドンを拠点に活動を開始、アート集団『NON DUAL無二行動』のメンバーでもある。本作は、21年にリリースされたおそらくソロ名義サード・アルバムで、全編アナログ・シンセ、エレクトロニクス、ボーカル・サンプル、フィールド・レコーディング、バイオリン、古琴等々を駆使したイーレイ1人による制作。概ね、耳触りの柔らかいノイズ・フラグメントやスペイシーなシンセ音、水の中的エレクトロニクス、鳥や虫の鳴き声＆生活音サンプリング等が交叉しながら、ある種の淡い情景に収束する感じのサウンドスケープで、なんとはなしに聴いていると、わりと見事に東アジア的な映像を想起させられる。表スリーヴの宋王朝8代目皇帝徽宗の作品「翠竹鉉」も含む、宋王朝時代の花や鳥の絵画を基本モチーフに、コロナ禍の上海帰京時に体験したホテルでの2週間検疫隔離中の時間への意識変化や、元来のテーマでもある自身のマイノリティとしてのアイデンティティ(ノンバイナリー,アスペルガー症候群)を流し込んだということのようだ。ドローン、コラージュ、ノイズ、テクノ等々の要素が、上等なレベルでゴッタ煮的に同居していて、ミュージック・コンクレートとしてもアンビエントとしても十分に成立する、正しくサイケで内省的な美しさの好盤と思う。素晴らしい！。
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輸入盤／限定500枚プレス
(Psyche/Electronics,Ambient,Drone,Techno / Digi-Sleeve CD(2021) / Metron Records/German)
