ノルウェーのアポロン・レコードからのリリース。ブレイザブリクは、おそらくベルゲン出身のエレクトロニクス奏者モッテン・ビルケラン・ニールセンのユニットで、巷ではタンジェリン・ドリームやクラウス・シュルツェの影響下で語られる、いわゆる『ベルリン・スクール系』として紹介されることが多いかも知れない。本作は、22年にリリースされたフィフス・アルバムで、メンバーは、シンセ&ギターのビルケラン・ニールセンを核に、曲によってホーコン・オフトゥン(ex.タスメルケ,ヨルズシュー,etc)、エルヤン・ノルドビク(aka.V'Gandr: ex.ヘルハイム,etc)、トロン・イェルラム(ex.パンザーパッパ,サバーバン・サヴェージズ,etc)等が適時参加。基本的には前作「オミクロン」の70年代タンジェリン調エレクトロニクス・プログレ感を担保しつつ、リズム隊が参加するパートではシンフォニック色がより増し々々で、スペイシーなSEやホワイトノイズにはシュルツェ色が強く顕われている印象。ともかくも、ある種のダンディさとメロウな情感が交叉する楽曲、シンセの音色とシーケンサーのサウンドスケープ、少しベタだがカッコいいアレンジと演奏辺りは、例えばレディオ・マサカー・インターナショナルにも通じるタンジェリン感十分。聴きやすいがニュー・エイジ系とは一線を画すヘヴィネスや、根底に流れるサイケのエッセンスもタンジェリンやシュルツェを彷彿させられ、この線としては引き締まった好盤と思う。余談だが、ブレイザブリクとは北欧神話(エッダ)の光の神バルドルの宮殿(または都)の名前で、同名のオンラインゲームやアイスランドのサッカー・クラブもあるらしい。
輸入盤
(Psyche/Electronics,Progressive,Symphonic / Jewel-case CD(2022) / Apollon Records/Norway)