USAのテンポラリー・レジデンス・リミテッドから、3面開きデジパックでのリリース。ウィリアム・バシンスキーはテキサス州ヒューストン出身のピアニスト兼コンポーザー兼エレクトロニクス奏者で、幼少期からピアとクラシック教育を受け、ノーステキサス大学でジャズと管楽器を学んだ後、78年からニュー・ヨークで音楽活動を開始した。ヤネク・シェーファーはイギリス中部出身のサウンド・デザイナー兼コンポーザー兼前衛芸術家で、本作は22年にリリースされたデュオ名義ファースト・アルバム。おそらくバシンスキーのピアノ・マテリアルを軸に、適時エレクトロニクスやフィールド・レコーディングを絡めたり変容させたりのトリートメント、コラージュ等を施して制作、お互い遠距離のままネット通信でマテリアルをやりとりして、完成までに7年の歳月を費やしたらしい。概ね、ブライアン・イーノの「鏡面界」的響きとリヴァーブ感のピアノが、淡いエレクトロニクス・ノイズのモアレ空間に浮き沈みを繰り返す、非常に静謐なドローン・アンビエント調サウンドを展開。透明な水の中的なピアノの浮遊感、ゆったりとしたドローンの埋没感辺りは、わりとモロに「鏡面界」に近似しているが、強いパッセージのない爪弾き的でミニマリスティックなピアノの反復は、むしろ「鏡面界」よりも無作為な『環境音楽』的サウンドスケープという印象。それは、タイトル通り様々な自然環境に顕れる『反射』の精緻なスケッチのようで、光と影の淡い揺らぎが、小鳥の囀りや水面の凪、木の葉のそよぎ等とともにゆるやかな木漏れ日的情感に収束。ともかくも絶妙の心地好さというか、まずもって時間の流れと空気の色が変わる、非常に美しい大好盤と思う。
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輸入盤
(Psyche/Ambient,Drone,Electronics / Digi-Pack CD(2022) / Temporary Residence Limited/USA)