イタリアのクィンディ・レコードからのリリース。ウーは、マーク&クライヴ・アイヴス兄弟の宅録デュオ・ユニットで、72年頃から南ロンドンのウィンブルドンの長屋で活動を開始した。82年にファースト・アルバムをリリース、ライヴも交えて活動するが95年に休止、13年の再開以降シーホークとのコラボレーションなども含め、現在まで15枚以上のアルバムをリリースしている。本作は、22年にリリースされた新作アルバムで、メンバーは、ギター、シンセ等のマーク、エレクトロニクス、シンセ等、プロデュース兼任のクライヴのデュオ編成。フワ~っとしたストリングス系のシンセ音に、適時リズム・マシーンを絡めたり絡めなかったりのエレクトロニクス空間を基調として、爪弾き調のギターやピアノ&エレピ、サンプリングかどうかは判らないヴィブラフォンやシロフォン、オルゴール系、管楽器や打楽器等々の柔らかい音色が、アブストラクトなノイズ・フラグメントとともに浮かんでは消えるサウンド。トイ・ポップ調の可愛らしいストレンジ感、ローデリウスやクラスター調のロー・ファイ的ポップネスが、ミニマル色内包のアンビエント感に収束するサウンドスケープは、非常に正しくサイケかつエレガントで、ともかくも流していて心地好い。音色チョイスや配置の塩梅のよさやリヴァーブ感の絶妙さ、結果としてのドローン感などなど、例えばデヴィッド・カニンガム辺りのセンスに通じる印象の、くぐもった英国の香りが担保された独特の寸止め的洗練感を放つ。優れて瞑想的で埋没感十分の好盤と思う。素晴らしい!。
輸入盤
(Psyche/Ambient,Electronics,Progressive / Jewel-case CD(2021) / Quindi Records/Italy)