UKのパネジェリクからのリリース。ロバート・フリップはドーセット州ウィンボーン・ミンスター出身のギタリストで、何よりキング・クリムゾンでの活動で知られるビッグ・ネーム。フリッパートロニクスを源とした独自のギター・システムを駆使して、現在もクリムゾンやソロ、ユニット等で孤高のサウンドを追求している。テオ・トラヴィスはバーミンガム出身の管楽器奏者で、プログレ系リスナーには何よりソフト・マシーン・レガシーやゴング等での活動で知られていると思う。本作は、08年にリリースされたファースト・アルバムで、クレジットは、フリップのギターとトラヴィスのフルート&サックスによるデュオだが、フリップはPC内蔵のエフェクター・ユニットを使ってギターを弾いていて、プロデュースはトラヴィス。淡々ともの哀しいドローン&モアレ空間に、儚いフルートやサックス、クリアー・トーンのギターがスローモーションのように浮かんでは消えてく感じの、ともかくもひたすら静謐なサウンドで、圧倒的な広がりと深みを放つサウンドスケープ感は非常に見事。この冷たいダークネスは、例えば無限に星が鏤められた宇宙空間や同じような風紋の砂丘が続く砂漠といった、生き物の気配がない無機質さとミニマルかつフラクタルな風景を想起させられるが、同時に何かが起る前の『前夜』的な、かすかなゆらぎのようなイメージが同居していて、時間の流れが変わるというよりは、自分の周りの時間だけが止まっているような不思議な感覚へと誘われる。一見何も起っていないようでいて、どっぷりと浸って耳を傾けると何かがゆっくりとゆらぎ流れていることに気付く、瞑想感満点、透徹感十分のダーク・アンビエント・ドローンを堪能出来る。とてもよく出来ていて心地好く、この線としてはわりと文句なしの好盤と思う。
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輸入盤/デッドストック入荷
(Psyche/Medidtation,Drone,Ambient / Jewel-case CD(2008) / Panegyric/UK)