オーストリアのクラング・ギャラリーから、デジパックでのリリース。リース・チャタムはニュー・ヨーク出身の実験音楽家で、トランペットとギターを主たる楽器として用い、エフェクターやループ・ペダルを使って変容させた音と生音の併用など、独自のサウンドを追求。70年代末のノー・ウェーヴ以降、ファクターXや自身のギター・オーケストラの他、シャルルマーニュ・パレスタインを始めとする数多の共演でも活動するビッグ・ネーム。ダヴィド・フェネシュはオー・ド・セーヌ県サン・クルー出身のマルチ奏者兼シンガー・ソング・ライターで、ギターとエレクトロニクスを主に、複数のパネルを使った独特の音響操作サウンドでも知られる。本作は、23年にリリースされた(今のところ)デュオ名義唯一のアルバムで、メンバーは、ギター、トランペット、フルート等々のチャタム、ギター、エレクトロニクス、パーカス等々のフェネシュの2人。1,2曲目がパリ、3曲目がウィーンで22年に録音されたマテリアルで、ほぼ無形のノイズ・フラグメントに近いギター、トランペット、フルート、ホーミー的ヴォイスなどのループが、フィールド・レコーディング・マテリアルとエレクトロニクスを交えたミュジーク・コンクレート空間に浮遊する、非常に見事なドローン・アンビエント調サウンドを展開。聴こえてくる音はほとんどどれもノイズなのだか、それらのミクスチャー具合がともかくも絶妙で、流していてとても心地好い涼やかなサウンドスケープ。このようなドローンの作り方もあるのだなと改めて認識させられ、時間の流れと空気の色が変わるメディテーション・ミュージック系の大好盤と思う。素晴らしい！。
輸入盤
(Psyche/Drone,Musique-Concrete,Medeitation / Digi-Pack CD(2023) / Klang Galerie/Austria)
