UK/EUのパネジェリク/DGMから、「1984」のシングル・エディットや別ミックス音源計3曲をボーナスで加えての、22年新規リマスターでのリシュー。ロバート・フリップはドーセット州ウィンボーン・ミンスター出身のギタリストで、何よりキング・クリムゾンでの活動で知られていると思う。フリッパートロニクスを源とした独自のギター・システムを駆使して、現在もクリムゾンやソロ、ユニット等で孤高の美学を追求するビッグ・ネーム。本作は、81年にUKエディションズE.G.からリリースされたサード・ソロ・アルバムで、79年4～8月のヨーロッパ＆北米ツアーでのライヴ音源をコラージュ＆エディットした内容。素材は全てフリップ1人によるギター＆フリッパートロニクスのソロ・ライヴ・パフォーマンスだが、複数の音源を非常に滑らかにコラージュ＆エディットした結果、閉じた空間でしっとりと鳴っているようなスタジオ・レコーディング的サウンドスケープに仕上がっていて、おそらくライヴそのものとはまた違った趣が生じているという印象。しつこ過ぎない郷愁感が、ピンぼけしつつある過去の記憶を慈しむような感覚に収束する感じの、非常に見事なドローン・サウンドで、ゆったりと寄せては引くさざ波ような下層と、何やら可愛らしいものがモソモソと蠢いたり喋ったりしているような上層のマッチングが素晴らしく、ちょっと独特の美しさを堪能出来る。フリップ＆イーノの発展形として、フリップ流のアンビエント・サウンドの確立となった作品で、ともかくも優しい心持ちになれる流していて心地好い好盤と思う。素敵！。
輸入盤
(Progressive/Ambient,Electronics/ Jewel-case CD(2022 Re-master) / Panegyric/UK,EU)
