ドイツのビュロー・Bから、10年新規リマスター&デジパックでのリシュー。ハンス・ヨアヒム・ローデリウスはベルリン出身のピアニスト、エレクトロニクス奏者&実験音楽家で、68年にコンラッド・シュニッツラー等と共に音楽共同体『ヒューマンビーイング』と、それに伴う『ゾディアック・フリー・アート・ラボ』を設立した。ラボに出入りしていたスイス人のディーター・メビウスと、シュニッツラーの3人で「K」のクラスターを結成、シュニッツラー脱退後はメビウスと2人で「C」のクラスターを継続、ノイ!のミヒャエル・ローターとのハルモニアやブライアン・イーノとのクラスター&イーノ等のコラボレーションの他、現在も現役でソロ活動を行うジャーマン・エレクトロニクス系のビッグ・ネーム。本作は、81年にドイツのスカイからリリースされたソロ名義セヴンス・アルバムで、全てローデリウス1人による多重レコーディングで制作、プロデュースは元タンジェリン・ドリームのペーター・バウマン。概ね、ピアノ&エレピを軸としたアンビエント系なのだが、メロトロン、シンセ、バグ・パイプ、パーカス等も使ったエレクトロニクス調の甘美な響きは絶妙で、まとまりや雰囲気のよさでは全作品中一番かも知れない。相変わらずプカプカ&ポカポカで心地好く、柔らかい内省感というか、どの曲も壊れゆくオモチャの最後の動きのような、独特の可愛らしさと郷愁感十分。全体に、無垢なゆるさとチェンバー・ミュージック的端正さが交叉する、味わい深い美しさを放っていて、空気の色と時間の流れが変わる優れて瞑想的な好盤と思う。素晴らしい!。
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(Psyche/Ambient,Electronics,Progressive,Chamber / Digi-Pack CD(2010 Re-master) / Bureau B/German)