国内のアルカンジェロから、限定ペーパースリーヴでのリリース。紙ジャケ仕様、24年新規リマスター盤、おそらく世界初CD化、ボーナス1曲を追加収録。フォノジェニックスは、新月解散後の81年以降に、津田治彦と花本彰が結成していたユニットというかプロジェクトで、84年に北村昌士との連名名義アルバム「ポスト・モダン・ミュージックへの序章」と、4曲入12インチEP「ハイム・フォー・サバンナ(実はこっちにも北村が参加)」をリリース以降、津田が中心となって断続的に活動を続けている。本作は、05年にフランスのムゼア・パラレルからリリースされたファースト・アルバムで、邦題は「メタガイア」、ライナーは斎藤直樹。メンバーは、ギター、シンセ、コンピューター、シーケンサー、プログラミング等々をマルチに熟す津田を核に、曲によって花本、村上正芳、磯江俊道などが適時ゲスト参加。1,3,4曲目が97年、2,5,6,7曲目が96年、8曲目が95年と、ほぼ津田のワンマン・プロジェクトとなっていた90年代のマテリアルをコンパイルしたアルバムで、アジアン&日本テイストの民族音楽風、マイク・オールドフィールド風、フリッパートロニクス風、アンビエント・フュージョン風などなど、わりとヴァリエーション豊富な曲想。とはいえ、ニュー・エイジ調のライトネスとプログレ調アレンジで統一されていて、散漫にならず纏まったニュアンスで括られている印象。それ程強いインパクトではないが、全体が淡い郷愁感に収束する感じがともかくも流していて心地好い、耳触りの優しいサウンドの好盤と思う。
アルカンジェロ盤/国内プレス盤(Japanese-pressing CD)
(Psyche/Ambient,Progressive,New Age / Paper-Sleeve CD(2024 Re-master) / Arcangelo/Japan)