スイスのWRWTFWW(ウィー・リリース・ホワットエヴァー・ザ・ファック・ウィー・ウオント)レコードから、22年新規リマスター&リミックス&デジパックでのリシュー。ミドリ・タカダ(高田みどり)は東京都出身の打楽器奏者/パーカッショニストで、78年にベルリン・フィルハーモニーの一員としてデビュー後、ソロやムクワジュ・アンサンブル、 シュトゥットガルト室内管弦楽団等々、現在も幅広く活動を続けている。本作は、99年に日本BAJ(バージ)レコードからリリースされたソロ名義セカンド・アルバムで、タイトルは「トゥリー・オブ・ライフ~プレイズ佐藤允彦」。メンバーは、1~4曲目がマリンバ、ベル、パーカスの高田1人、5~12曲目が高田と上海出身の二胡奏者の姜建華(ジャン・ジェンホワ)とのデュオ編成、プロデュースは佐藤允彦(バージの主任プロデーサーでもある)。サブタイトル通り、全曲トン・クラミの僚友でもある佐藤のペンによる曲を演奏していて、マリンバを軸としたミニマリスティックな1~4曲目は、1曲目がシリア、2曲目ミャンマー、3曲目がタイ~ラオス、4曲目がケニア~タンザニア起源の音階をモチーフとしたものらしい。中国の音階をモチーフとした5~12曲目の「二綾楽」は、マリンバと二胡のデュオで、8曲の演奏順番、片方の提示に対する同調・対立・補完、断片のつなぎ方、速度の選択などの自由があって、演奏者がある程度自由に遊べるという趣向らしい。全体に、現代音楽的なシリアスさを内包したミニマル感が、ちょっと独特の浮遊感に収束している印象で、それ程耳馴染みのない旋律や音階ながら、どこか懐かしい原初的なスピリチュアル感に心地好く埋没出来る感じ。涼やかな音色の好盤と思う。
輸入盤
(Psyche/Minimal,Contemporary,Ethnic / Digi-Pack CD(2022 Re-master) / We Release Whatever The Fuck We Want Records/Switz)