国内のオクターヴ/ウルトラ・ヴァイヴからのリリース。ミドリ・タカダ(高田みどり)は東京都出身の打楽器奏者/パーカッショニストで、78年にベルリン・フィルハーモニーの一員としてデビュー後、ソロやムクワジュ・アンサンブル、 シュトゥットガルト室内管弦楽団等々、現在も幅広く活動を続けている。ラファウンダはパリ出身のボーカリストで、両親はエジプトとイラン出自の家系。アフリカやアラブのエスニック要素を取り入れた独特のエレ・ポップ方面を軸に、ニュー・ヨークを拠点に活動している。本作は、19年にリリースされたデュオ名義作品で、高田賢三のファッション・ブランド「KENZO」のイメージ・フィルム企画のサウンドトラックとして制作された。メンバーは、マリンバ、ウォーターフォン、ベル、明珍火箸等の高田と、ボーカルのラファウンダのデュオ編成、コンセプトとアート・ディレクションはパルテル・オリヴァ。「ル・ルナール・ブルー」とは「青い狐」の意味で、アフリカのドゴン族の神話に着想を得て高田が作曲、歌詞は狐との対話をモチーフとしてラファウンダが作詞したとある。概ね、マリンバのミニマル・パターンを基調に、前述のパーカス群とボーカルが適時たゆたう感じの静謐なアンサンブルを展開していて、緊張感十分の「能」的で只ならぬ浮世離れ感が、引き締まったアンビエント感に収束。20分程の1曲で、襟を正して聴くような『ちゃんとした感』満点だが、ともかくも正しくサイケで流していて心地好い好盤と思う。
オクターヴ盤
(Psyche/Minimal,Ambient,Drone / Jewel-case CDS(2019) / Octave/Ultra-Vybe/Japan)