ロシアのインフィニート・フォグ・プロダクションズから、19年新規リマスター＆デジパックでのリシュー。マイケル・スターンズはアリゾナ州ツーソン出身のコンポーザー兼電子音楽家で、アンビエント系のソロ諸作の他、映画音楽、TV番組サントラ、サウンドデザイナー、プロデューサー等々で幅広く活動する、アメリカのニューエイジ方面のビッグ・ネーム。本作は、77年に自身のコンティニュアム・モンタージュ・レーベルからリリースされたソロ名義ファースト・アルバムで、クレジット・メンバーは、スターンズ、エミリー・コンラッド、リンダ・オルソン、スーザン・ハーパー等々。フィードバックも含むアナログ・シンセの重厚なうねりを軸に、ホワイトノイズを絡めたドローン空間の中で、リヴァーブの効いたカンテレや古代呪術感女性コーラス、グレゴリアン・チャントのサンプリングなどが浮かんでは消える、ちょっと独特の暗さを放つサウンドを展開。シンセのフラグメントはほぼノイズ的だが、うねりの波長やホワイトノイズのタイミングのセンスがよく、ダーク・アンビエント系として非常に心地好く正しくサイケ。スペイシーというよりは、神秘的なスピリチュアルさが感じられ、荒涼さと荘厳さが悠久の時空に収束していくようなイメージが喚起される、優れて瞑想的なサウンドスケープ感覚。ともかくも空気の色と時間の流れが変わる、ダーク・アンビエント音響系文句なしの好盤と思う。
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輸入盤
(Psyche/Ambient,Drone,Electronics / Digi-Pack CD(2019 Re-master) / Infinite Fog Productions/Russia)
