スイスのWRWTFWW(ウィー・リリース・ホワットエヴァー・ザ・ファック・ウィー・ウオント)レコードから、デジパックでのリシュー。ミドリ・タカダ(高田みどり)は東京都出身の打楽器奏者/パーカッショニストで、78年にベルリン・フィルハーモニーの一員としてデビュー後、ソロやムクワジュ・アンサンブル、 シュトゥットガルト室内管弦楽団等々、現在も幅広く活動を続けている。本作は、83年に日本RCAからリリースされたソロ名義ファースト・アルバムで、タイトルは「鏡の向こう側」。マリンバ、ゴング、カウベル、オカリナ、タムタム、足踏みオルガン、土鈴、コーラの瓶、シンバル、ビブラフォン、ピアノ等々を、全てタカダ1人で多重録音した作品で、プロデュースも兼任。マリンバをベースにした原初の森的空間に、各種オカリナや金物パーカスによる鳥や動物の鳴き声を配置したドローン的な「アンリ・ルソーの夢」から、ビブラフォンやマリンバの位相がズレていくカウンターポイント手法による、ミニマル的な「クロッシング」、オカリナのゆったりしたミニマル空間に霧のようなオルガンまたはアコーディオンが浮遊する「トロンプ・ルイユ」、オルガンとピアノをガイドに、次第にパーカス群が折り重なって盛り上がっていく「カタストロフィΣ」まで、非常に上質で優れて瞑想的なトリップ・サウンドを展開。1,3曲目のプカプカした浮遊感、2,4曲目の美しいフラクタル感、どれも雰囲気抜群で文句なしに心地好く、空気の色と時間の流れが変わること請け合い。落田洋子のスリーヴも含め、アンビエントまたはメディテーション・ミュージックとして屈指の大好盤と思う。素晴らしい!。
輸入盤
(Psyche/Minimal,Ambient,Drone / Digi-Pack CD(2017) / We Release Whatever The Fuck We Want Records/Switz)