フランスのアイデオロジック・オルガンから、新曲1曲をボーナスで加えての、25年新規リマスター&3面開きデジスリーヴでのリシュー。カリ・マローンはコロラド州デンヴァー出身のコンポーザー&マルチ奏者で、プリペアド・チューニングを施したパイプオルガンを主軸に、混成コーラスやチェンバー・オーケストラ等も適時絡めた、エレクトロ・アコースティック/ポスト・クラシカル系のミニマル/エクスペリメンタル方面で活動。10年代以降はスウェーデンのストックホルムを拠点に、スワップ・ベイビーズやヘストショットスカンダレンなどのユニットでも活動している。本作は、19年にスウェーデンのアイデアル・レコーディングスからリリースされたサード・アルバムで、基本的にはカリ1人によるパイプ・オルガンのソロ・パフォーマンスだが、1曲でエレン・アークブロがゲスト参加、プロデュースはカリ。概ね、非常に淡々としたオルガン・ドローンを展開していて、一応ミニマル構造の楽曲ながら、白玉音符の多いリフ&フレーズにパターン自体が埋没する仕掛けになっていて、何かしらが滲んでモアレ化していく感覚の、ヒプノティックな没入感十分。どの辺りがプリペアド・チューニングなのか否かは、今一つ判然としないが、クローズ・マイキング手法でレコーディングされたサウンドスケープは、非常に静謐かつ内省的。淡くアンバーな郷愁的情感がシームレスに続く、ともかくも流していて非常に心地好い好盤と思う。
輸入盤
(Psyche/Drone,Ambient,Post Crassical / Digi-Sleeve CD(2025 Re-master) / Ideologic Organ/France)