USAのパレス・オブ・ライツから、3面開きデジパックでのリリース。ケリー・レイマーはカナダのウィニペグ出身の音響系アーティストで、79年頃からK.レイマー名義で活動を開始、80年には自らパレス・オブ・ライツ・レーベルを立ち上げ、テリー・ラーリーとブライアン・イーノに影響を受けた音響アンビエント&ドローン作品をリリースし続けている。80年代前半のポスト・パンク系ユニット、サーヴァントでの活動でも知られているかも知れない。本作は、23年にリリースされたアルバムで、エレクトロニクス、シンセ、キーボード、ピアノ、ギター等々を駆使したレイマー1人による多重録音、プロデュースはレイマーのセルフ。なにかしらの終末感が漂うSF文学調のダークな空気感と、どこかしら希望が担保されているような淡い情感が交叉する、わりと独特のエテクトロニクス音響系サウンドで、全体のサウンドスケープが見事にドローンへと収束。(おそらく)エレクトロニクスによる未分化なマテリアルや、(おそらく)シンセのホワイトノイズと思われる、耳触りがコントロールされたノイズ・フラグメントの使い方、そこに適時音色変容させたりさせなかったりのピアノ&エレピ、ギター、シンセ等々の織り込み方やチョイスが上手く、無機的になり過ぎない線をキープしながら、さりげなくドローンへと導くセンスは非常に上等。例えば、エレクトロニクス・ノイズによる室内楽的アンサンブルの様相とも云えるかも知れず、ある種のクールさとエレガントな静謐さを放つ、流していてとても心地好い好盤と思う。ともかくも優れて瞑想的。
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輸入盤
(Psyche/Ambient,Drone,Electronics,Chamber / Digi-Pack CD(2022) / Palace Of Lights/USA)