オーストリアのインフィニート・フォグ・プロダクションズから、23年新規リマスター&デジパックでのリシュー。クラウス・ヴィーゼはおそらくウルム出身のアンビエント&音響系アーティストで、プログレ系リアスナーには、何よりポポル・ヴーのサード「ホシアナマントラ」とフォース「聖なる賛美」のタンブーラ奏者として知られているかも知れない。60年代にアラブからインド、チベットへの放浪の旅で、イナヤット・カーンのインディック・スーフィズム(インド・イスラム神秘主義)教団の教義を吸収して以降、前述のポポル・ヴーも含め主にタンブーラやチベットのシンギング・ボウル奏者として活動、80年代から09年に他界するまでソロや数多の共演作品をリリースした、知る人ぞ知る音響系のビッグ・ネームの1人。本作は、86年にドイツのアクアマリン・フェアラークから自主制作カセット・テープ作品としてリリースされたアルバムで、シンギング・ボウル、シンバル、チター、タンブーラ、バード・コール、声、ドラム、フィールド・レコーディング等を駆使した、全てヴィーゼ1人による制作。チターを軸とした1曲目、シンギング・ボウルとタンブーラを軸とした2曲目、どちらも静謐なスピリチュアル感を内包した典型的なドローン・アンビエント方面で、例えばラ・モンテ・ヤングとマリアン・ザジーラが、60年代にハミングとサイン波でやっていたことを、楽器を変えて継承しているような印象。それぞれアプローチの対象となる『神』は違うのかも知れないが、ドローンが放つ内省的埋没感覚はほぼ同質で、優れて瞑想的なサウンドスケープを堪能出来る。遠くで鳴ってる鳥の声は、フィールド・レコーディングなのかバード・コールなのかヴィーゼの鳴きマネなのか、それらを混ぜて使っているのかは判らないが、ともかくも正しくサイケで見事な好盤と思う。
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輸入盤
(Psyche/Drone,Ambient,Electronics / Digi-Pack CD(2023 Re-master) / Infinite Fog Productions/Austria)