USAのパレス・オブ・ライツから、3面開きデジパックでのリリース。ケリー・レイマーはカナダのウィニペグ出身の音響系アーティストで、79年頃からK.レイマー名義で活動を開始、80年には自らパレス・オブ・ライツ・レーベルを立ち上げ、テリー・ラーリーとブライアン・イーノに影響を受けた音響アンビエント&ドローン作品をリリースし続けている。80年代前半のポスト・パンク系ユニット、サーヴァントでの活動でも知られているかも知れない。本作は、22年にリリースされたアルバムで、ピアノ、キーボード、シンセ、ギター、ドラム、エレクトロニクス等々を駆使したレイマー1人による多重録音に、一部の曲でタルーラ・ベントリーの朗読が入る。自身の過去の作品群から、音色やフレーズを再利用して新たに手を加え、コラージュ、エディットした作品。21年の前作「ファウンド・オブジェクツ」での、薄れゆく記憶を慈しむような淡い郷愁感を担保しつつ、イーノ/バッドの「鏡面界」的ピアノ、ドローン調シンセやキーボード、おそらく何かしらのフィールド音を内包したエレクトロニクス&ホワイトノイズ、ジャジーなドラムなどが適時絡みながら、ある種の室内楽的アンサンブルを展開。概ね軸となるのは静謐な響きのピアノで、透明感十分ながら深く沈み込んでいくような独特のニュアンスを放っていて、蔓植物のようなフラクタル的拡がりのシンセやエレクトロニクス、その他の楽器と相俟って、全体がノスタルジックな淡い情感に収束。優れて瞑想的でエレガントな好盤と思う。ともかくも流していて心地好い。
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輸入盤
(Psyche/Ambient,Drone,Electronics,Chamber / Digi-Pack CD(2022) / Palace Of Lights/USA)