USAのパレス・オブ・ライツから、3面開きデジパックでのリリース。ケリー・レイマーはカナダのウィニペグ出身の音響系アーティストで、79年頃からK.レイマー名義で活動を開始、80年には自らパレス・オブ・ライツ・レーベルを立ち上げ、テリー・ラーリーとブライアン・イーノに影響を受けた音響アンビエント&ドローン作品をリリースし続けている。80年代前半のポスト・パンク系ユニット、サーヴァントでの活動でも知られているかも知れない。本作は、21年にリリースされたアルバムで、レイマー自身の過去の作品群から、音色やフレーズを再利用して新たに手を加え、コラージュ、エディットした作品。概ね、フィールド音を内包したエレクトロニクス、キーボード、ピアノ等による、記憶を掘り起こしていくような内省的ドローン空間に、記憶がバグるような淡いホワイトノイズが浮かんでは消える、非常に埋没的なサウンドスケープを展開。既存のマテリアルを加工して再構築するという意味では、言葉通りのミュージック・コンクレート手法だが、全体がゆったりとした郷愁感に収束していて、例えば「ミュージック・フォー・フィルムス」や「ミュージック・フォー・エアポート」辺りの、イーノのアンビエント感にも近似する印象。記憶のくっきりした部分と曖昧な部分の境界が、スリーヴの遠くの月のようにあやふやなグラデーションで滲んでいく感じが見事に顕われていて、流していてともかくも心地好く、優れて瞑想的で正しくサイケな好盤と思う。
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輸入盤
(Psyche/Ambient,Drone,Electronics / Digi-Pack CD(2021) / Palace Of Lights/USA)