USAのテンポラル・ドリフトから、23年新規リマスター＆デジパックでのリシュー。オビ付。吉村弘は横浜市出身の作曲家で、64年に早稲田大学第二文学部美術科を卒業後、グラフィック＆サウンド・デザイナー＆コンポーザーとして活動を始めた。80年代以降は、芦川聡のサウンド・プロセス／サウンド・プロセス・デザインや尾島由郎の複製技術工房等とも関わりながら、様々な公共施設のサウンド・デザインを手掛けアルバムもリリースした、日本のアンビエント／環境音楽系のビッグ・ネーム。本作は、86年に日本ミサワ・ホームからリリースされたフォース・アルバムで、ミサワホーム総合研究所が住まいの環境づくりの一貫として、『音のインテリア』での演出を目的としたサウンドスケープ・シリーズの第一弾。フィフス「グリーン」とほぼ同時期の制作で、おそらく「グリーン」同様にシンセ(ヤマハDX7,TX7,FB01,etc)、シーケンサー(ローランドMSQ700,etc)、コンピューターの他、ギター等も使った吉村1人による多重録音、プロデュースは塩川博義。塩川と吉村自身による新規ライナーノーツ(日本語＆英語)掲載ブックレット付。概ね、ミニマリスティックなフラグメントを基調としたアンビエント方面で、ほとんど「グリーン」と同じ印象というか、エレガントな透明感とゆったりした木漏れ日感が交叉する水彩画調の淡いサウンド。足音による振動やエアコンの稼働音、コーヒーカップとスプーンの接触音といった生活音を模したフラグメントと、ドローン調の静のフラグメントの組み合わせがいい塩梅で、ともかくも涼やかなサウンド・デザインが絶妙。流していて非常に心地好いサウンドスケープのド好盤と思う。素敵！。
輸入盤
(Psyche/Ambient,Minimal,Soundscape / Digi-Pack CD(2023 Re-master) / Temporal Drift/USA)
