USAのノンサッチからのリシュー。98年盤とおなじ規格番号/バーコードだが、おそらく23年再プレス盤。スリップ・ケース付きで、ここではそのスリップ・ケースを載せた。グスタボ・サンタオラージャはブエノスアイレス出身のマルチ奏者兼コンポーザーで、アカデミー作曲賞を受賞した「ブロークバック・マウンテン」や「バベル」等で知られる映画音楽のビッグネームだが、プログレ系リスナーには初期アルコ・イリスやバホフォンドでの活動でも知られているかも知れない。本作は、96年にUSAソルナ/アイランド・インデペンデントからリリースされたアルバムで、タイトル通りロンロコ、チャランゴ、マウリンチョ等の10弦楽器のための器楽曲集というか、何かのサウンドトラックではない。メンバーは、ロンロコ、チャランゴ、マウリンチョ、ギター、ギタロン、ティン・ホイッスル、パイプ、ハーモニカ等、プロデュース兼任のサンタオラージャ、ヴィブラフォン、メロディカ、レコーディング・エンジニア兼任のアニバル・ケルペル(ex.クルーシス,etc)の2人を核に、1曲でハイメ・トルレスがチャランゴで参加。概ね、フォルクローレをモチーフとした郷愁感十分のメロディやアルペジオ、トレモロがドローンに収束する、もの悲しいテイストのインスト作品で、前述の10弦楽器群を軸とした弦楽アンサンブルに、時折管楽器やメロディカ、ヴィブラフォン、パイプ等がさりげなく絡んでは消えていく様は、ともかくも非常に美しくて静謐。10弦楽器群の乾いていて湿った質感の独特の響きは、例えばレッド・ツェッペリンの「限りなき戦い」のマンドリン&ギターのアンサンブルにも通底する印象で、全体を覆う楽曲の淡い情感も流していて素直に心地好い。空気の色と時間の流れが変わる、わりと文句なしの好盤と思う。素晴らしい!。
輸入盤
(Psyche/Folclore,Ambient,Drone / Jewel-case CD(2023/1998) / Nonesuch/USA)