USAのパレス・オブ・ライツから、デジパックでのリリース。グレゴリー・テイラーはウィスコンシン州マディソン出身の電子音楽家兼コンポーザーで、83年頃からカセット・テープで作品をリリース、ライヴ活動中心の90年代を経て、06年頃から再び作品を活発にリリースしている。現在は、地元マディソンのミニFM局WORT-FMで、日曜日の午前中にヒーリング・ミュージック番組も担当しているらしい。本作は、21年にリリースされたアルバムで、全編テイラー1人による、サンプリング、エレクトロニクス、フィールド・レコーディング・マテリアルを、PCでエディット＆トリートメントして制作。概ね、20年の前作「ペレグリネイション」の延長線上にある、ガムランをモチーフとしたドローン・アンビエント調サウンドだが、ゆったりとした東洋的メロディはある程度担保しつつも、ガムラン・マテリアルはわりと装飾的に使われていて、遠くで鳴ってる感じの残響＆共鳴音が交叉しながらドローン感に収束していくサウンドスケープ。その意味では、むしろ主眼は残響＆共鳴音のドローン音響という印象で、現れては消える泡沫の如く水中にフワフワと漂うような浮遊感は、ともかくも涼やかで流していて非常に心地好い。曲によって適時挿入される淡いコーラス・チャントも含め、全体に各フラグメントの音色のセンスがよく、リヴァーブのゆりかご的埋没感も絶妙で、優れて瞑想的で正しくサイケなドローン・アンビエント系の好盤と思う。心地好し！。
輸入盤
(Psyche/Ambient,Drone,Electronics / Digi-Pack CD(2021) / Palace Of Lights/USA)
