国内のリングスから、ボーナス1曲を加えての、デジパックでのリリース。ファビアーノ・ド・ナシメントはリオ・デ・ジャネイロ出身のギタリストで、幼年期からクラシックの音楽教育を受け、12歳からギターも習い始めた。00年に17歳でロサンジェルスに移住後、パブロ・カロジェロ等とのトリオルガニコや深津純子とのデュオ・ユニット等を経て、15年にソロ活動に転じた。笹久保伸は埼玉県秩父地方出身(東京生まれ説もあり)のギタリスト&映画監督&アーティストで、04〜07年にかけてペルーで音楽採集調査と演奏活動に従事、帰国後の09年から秩父を拠点に芸術運動『秩父前衛派』を開始、秩父の仕事歌を調査&採集&演奏、ドキュメンタリー映画や写真、絵画等の制作など、幅広いフィールドで活動している。本作は、24年にリリースされたデュオ名義アルバムで、基本的にド・ナシメントと笹久保による、何らかのギター・デュオ・パフォーマンス、プロデュースは原雅明。ミニマリスティックなギターのアルペジオ&フレーズを基調に、しつこくないテーマ・メロディをさりげなく織り込んだタイプの曲が多く、ミニマル・ミュージックのスタイリッシュなエレガントさと、日本的くぐもり感内包の淡い情感が、非常にいい塩梅のバランスで交叉。その意味では、ド・ナシメントの「YKYTU」にも通じる内省的な空気感十分で、アンバーな透徹感が滲み出る、流していて非常に心地好い好盤と思う。素敵!。
リングス盤
(Psyche/Ambient,Minimal,Acid Folk,Progressive / Digi-Pack CD(2024) / Rings/Japan)