USAのスポッテッド・ペッカリーから、90~92年の未発表曲2曲をボーナスで加えての、本人による10年新規リマスター&見開きデジスリーヴでのリシュー。エリク・ウォローはヘムセダール出身のノルウェー人ギタリストで、テリエ・リピタルに師事し一部ではその継承者ともいわれた。ベンディク・ホフセスとのチェレステを経て、80年代前半からソロ活動を開始、主にギター、ギター・シンセ、エレクトロニクス等を使った、ダークな情感を放つ独自のニュー・エイジ&音響系作品をリリースし続けている。本作は、92年にノルウェーのオリゴ・サウンドからリリースされたソロ名義セクス・アルバムで、11年の500枚限定スポッテッド・ペッカリー盤3枚組(85年サード、90年フィフス、92年セクスのカップリング)の、おそらく12年再プレスのバラ売り。メンバーは、ギター・シンセ、アコースティック・ギター、キーボード、シーケンサー、シロフォン等々を駆使したウォロー1人による多重録音が基本で、曲によってカタリナ・フローデン(女性スキャット・ボーカル)、ラクシュミナラヤーナ・スーブラマニアム(ヴァイオリン)が適時ゲスト参加、プロデュースはウォロー。概ね前作の延長線上にある、わりと静謐な佇まいのギター・アンビエント方面変わらずで、シーケンサーやシロフォン、カリンバ等をさりげなく織り交ぜた、しつこくないリズム・トラックの遇らい方が上手く、ニュー・エイジ・プログレ系としても十分に成立している印象。決して重たくはないが、押し付けがましいあざとさや軽さがなく、全体がくぐもり感に収束する淡い情感や仄暗い空気感、アーバンな洗練感も見事。この線としては、耳とセンスのよさが抜群の好盤と思う。
輸入盤/デッドストック入荷
(Psyche/Ambient,Electronics,Progressive / Digi-Sleeve CD(2012 '10Re-master) / Spotted Peccary/USA)