USAのプロジェクトから、デジパックでのリリース。LTD.1000。エリク・ウォローはヘムセダール出身のノルウェー人ギタリストで、テリエ・リピタルに師事し一部ではその継承者ともいわれた。ベンディク・ホフセスとのチェレステを経て、80年代前半からソロ活動を開始、主にギター、ギター・シンセ、エレクトロニクス等を使った、ダークな情感を放つ独自のニュー・エイジ&音響系作品をリリースし続けている。本作は、22年にリリースされたアルバムで、エレキ・ギター、ギター・シンセ、シーケンサー、パーカス、プログラミングを駆使した、ウォロー1人による多重レコーディング。彼方まで続く雪原のようなドローン感と、静かに降り積もる雪を眺めているようなプログレ的情感が、淡い郷愁感に収束しつつ交叉。独特の冷たい空気感の中に、何かしら人の営みらしきものが見え隠れする、ダークネス一辺倒ではないサウンドスケープは、タンジェリン・ドリームやクラウス・シュルツェ辺りのベルリン・スクール系に繋がる感じもあるが、抽象的であるようでいて透明過ぎず、どこか暖かさが担保されている印象。寄せては引くオーロラのようなドローンのうねりや、ミニマリスティックなフレーズやリフのリヴァーブ感、ホワイトノイズも含めた全体のスローな揺らぎの塩梅が絶妙で、ともかくも優れて瞑想的で美しいアンビエント・サウンド。静謐さがゆったりと染み込んでくる感じは、メディテーション・ミュージックとしての内省感十分で、流していて非常に心地好い好盤と思う。
輸入盤/限定1000枚プレス
(Psyche/Progressive,Meditation,Drone,Ambient / Digi-Pack CD(2022) / Projekt/USA)