ノルウェーのスモールタウン・スーパーサウンドから、3面開きデジパックでのリリース。エリク・ウォローはヘムセダール出身のノルウェー人ギタリストで、テリエ・リピタルに師事し一部ではその継承者ともいわれた。ベンディク・ホフセスとのチェレステを経て、80年代前半からソロ活動を開始、主にギター、ギター・シンセ、エレクトロニクス等を使った、ダークな情感を放つ独自のニュー・エイジ＆音響系作品をリリースし続けている。本作は、サブタイトル通り86～92年における未発表音源をコンパイルした発掘音源集で、エレクトリック・ギター、ギター・シンセ、キーボード、パーカス、プログラミングを駆使したウォロー1人による多重レコーディング。86～92年にオスロとフレドリクスタのスタジオで制作したとあるが、同時に84年「ドリームス・オブ・ピラミッズ」、85年「トレイシズ」、87年「シルヴァー・ビーチ」の頃をカヴァーするセッション音源とのクレジットもあって、83～84年頃からのアイデアを元にしたマテリアルもあるのかも知れない。淡いホワイトノイズやゆったりとうねるギター・シンセ、透明感十分のオーロラ的ドローン感、踊れないが心地好いシーケンサー等々、後の諸作に登場していく要素の萌芽が随所に鏤められている印象。多くの曲はわりと淡々としたドローン・アンビエント的サウンドだが、モノ・トーン調の中に泡のように浮遊する情感の儚さは、ともかくも内省感満点。雪の降り積もった真冬の静寂さや透徹感を彷彿させられる、優れて瞑想的な好盤と思う。心地好し！。
輸入盤
(Psyche/Ambient,Meditation,Progressive / Digi-Pack CD(2019) / Smalltown Supersound/Norway)
