USAのリシタル・セヴンティから、200枚限定プレスでのリリース。ダニエル・シュミットは、おそらくニュージャージー州出身のコンポーザーで、75年頃からサンフランシスコのバークレーを拠点に、地元の学生達と音楽サークルを結成して、「ザ・バークレー・ガムラン」の名前で活動した。ほとんど作品のリリースはなかったが、親交のあったルー・ハリソン等と共に、真鍮やアルミニウム製の楽器を使ったいわゆる『アメリカン・ガムラン』界隈では知られた存在で、多くのガムラン曲の作曲の他、独自の楽器製作者や講師として現在も活動している。本作は、76~91年におけるスタジオ&ライヴ音源をコンパイルした発掘音源集で、16年にリリースされた「イン・マイ・アームス、メンー・フラワーズ」に続く第2弾。国内のAtoZ/ディスク・ユニオンが輸入盤にオビ・解説を付けた国内流通盤で、ライナーはスガイケン、19年リリースのLP+CD盤よりおそらく1曲多い(11曲目)。クレジット・メンバーは、シュミットが作曲(一部ハリソンとの共作)、ザ・バークレー・ガムランがパフォーマンス、シュミットとショーン・マッカンの共同プロデュース。2,4曲目がスタジオ、他はライヴ音源で、主にジャワ島のガムランを基調としたアンサンブルに、篳篥のような管楽器やチェロ、ヴァイオリン等を適時交えた演奏。全体に、ブロンズ製のインドネシアのガムランと違って概ね響きが涼やかな淡い印象で、郷愁感のあるメロディも含め線が細くてゆったりとした美しいアンビエント・サウンド。ともかくも淡々と素直に心地好い。
AtoZ/ディスク・ユニオン盤/限定200枚プレス
(Psyche/American Gamelan,Ambient / Jewel-case CD(2020) / AtoZ,Recital Seventy/Japan,USA)