イタリアのメロウ・レコードからのリリース。シロ・ペッリーノはサンレモ出身のマルチ奏者兼コンポーザーで、プログレ系リスナーには何よりチェレステでの活動で知られていると思う。77年のチェレステ解散後、サン・トロペ、ラ・コンパーニャ・ディジターレ等を経て80年にソロ活動を開始、19年以降は再編チェレステと並行して現在も活動を継続している。本作は、22年にリリースされたソロ名義アルバムで、おそらく12枚目辺り。全てペッリーノ1人による制作で、概ね室内楽的な柔らかいストリングス・シンセを軸とした、ドローン・アンビエント調サウンドを展開。「時間の不在」というタイトル通り、『瞑想とリラクゼーションによる内面性の探求』がテーマだそうで、例えば凪の地中海やサンレモの陽光、穏やかなイタリアの森といったイメージの、涼やかな木漏れ日感方面のドローン感。嫌味なくエレガントな音色とコード感は、深く染み込むような内省的情感ではないが、わりと静謐で素直に美しく、たまたま通りかかった雑木林で沐浴のマネごとをしてみたら意外に気持ちよかった的なライトさと、夕焼けの雲をただボ~っと眺めているようなヤボったさが同居。優等生的で毒は薄いが、抽象的で主張のない淡さと多幸感は見事で、その意味では正しく家具のようなアンビエント然としたサウンドスケープ。ともかくも流していて心地好く、グッド・トリップ系として優れて瞑想的な好盤と思う。余談だが、メロウ・レコードはペッリーノとマウロ・モローニが91年に設立したレーベルで、ペッリーノは今もエグゼクティヴ・プロデューサーとしてレーベルを運営している。
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輸入盤
(Psyche/Drone,Ambient,Electronics / Jewel-case CD(2022) / Mellow Records/Italy)