デンマークのフェルテ・レコードから、デジパックでのリリース。ビロウ・オブザーヴァトリーは、デンマークのオーデンセを拠点とするヨナス・ムンク(ex.マニュアル,カウサ・スウイ,etc)と、ミシガン州デトロイトを拠点とするジェイソン・コルブ(ex.オーバーン・ラル,etc)が、06年頃に新たに結成したデュオ・ユニットで、お互いのスタジオから大西洋を隔てて、マテリアル音源をメールでやり取りしながら制作しているらしい。本作は、25年にリリースされたフィフス・アルバムで、メンバーはムンクとコルブの2人、プロデュースも兼任。基本的には、従来のドローン・アンビエント方面変わらずだが、今回は徹底してドローンというか、アナログ・シンセ、ギター、エレクトロニクスのアブストラクトなモアレ・フラグメントが、凪の水面のように淡々と揺らぐイメージのサウンドスケープを展開。例えば、これをバックにオーロラを観ればスペイシーな、砂漠や険しい山々の風景なら超然とした、森や里山の光景なら生命の営みの、それぞれの神秘的な何かを想起させられるような静謐なサウンド。ポスト・ロック以降の洗練された人工的な音色の中に、ローデリウスやイーノの『無垢な肯定感』的ニュアンスや、『家具のような音楽』としての環境音楽的暖か味が滲み出る感覚は、優れて瞑想的で美しさも十分。アンバーな空気感が包み込むように拡がる、流していて非常に心地好い好盤と思う。素敵!。
輸入盤
(Psyche/Drone,Ambient,Electronics / Digi-Pack CD(2025) / Felte Records/USA)