UK/ドイツのUMC/オパールから、限定ペーパースリーヴでのリリース。ブライアン・イーノはサフォーク州ウッドブリッジ出身の音響アーティスト、プロデューサー、コンポーザー、キーボーティストで、ロキシー・ミュージックでの活動を経て、クリムゾンのロバート・フリップと共作した2枚のアルバム以降、クラスターやハルモニアとの共演や、オブスキュア&アンビエント・レーベルの設立など、いわゆる環境音楽/アンビエント・ミュージックの方向を確立していったビッグ・ネーム。本作は、21年にリリースされたアルバムで、ゲイリー・ハストウィット監督が18年に制作したディーター・ラムス(ドイツの工業デザイナー)のドキュメンタリー映画のサウンドトラック作品。全てイーノ1人による演奏&プロデュースで、エレキ・ギター、エレピ、ピアノなどの音を、加工、変容させたり、またはほぼそのまま使ったりトリートメントしたりと、わりとシンプルで身体性が感じられるサウンドスケープを堪能出来る。その意味では、初期のアンビエント感に回帰している印象で、例えば歪ませたギターのドローンとオルゴールのようなギターのハーモニクス音の、対極のトーンの等価的な美しさに驚かされ、さりげなくまどろみ的浮遊感へと誘われる。ちょっと懐かしいエレピやシンセのモアレ感、元祖水の中的ピアノの透明感、人力テクノ的ローファイ感などなど、曲によってテイストにヴァリエーションがあるが、エレガントな耳触りのよさと鼻に付かないスタイリッシュさで統一されていて、それは、全体のセンスがラムスのデザインの洗練されたシンプルさに収束しているということなのかも知れない。ともかくも流していて非常に心地好い好盤と思う。素敵!。
輸入盤
(Psyche/Ambient,Electronics / Paper-Sleeve CD(2021) / UMC/Opal/UK,German)