ドイツのペイズリー・プレスから、25年リマスターでのリシュー。多分初CD化。バクスターはコネチカット州ニュー・ロンドン出身のグループで、73年にアルバム1枚とシングル1枚(両面ともアルバムからのシングル・カット)をリリース、ラジオ出演などライヴも含めた多少のライヴ活動は行っていたようだが、資料不足で詳しいことは判らない。本作は、73年にUSAのパラマウント・レコードからリリースされた唯一のアルバムで、メンバーは、ダグ・アリオリ、スティーヴ・ベルグラード、スティーヴン・キルシェンバウム、エドウィン・ダムス・パリー、ローレンス・ディ・ナターレの5人編成、プロデュースはジョン・ザ・ジェネラル・リンデ。概ね、ハード・プログレ系で括れないことはないが、シンフォニック・プログレ、ハード・ロック、ウエスト・コースト調フォーク、メインストリーム調ポップスの要素がゴッタ煮で同居している感じ。この、結果としての演奏A級センスB級的煮え切らなさは、例えばイーソスや初期スティックスなどなど、アメリカのメジャー・レーベルからリリースされたマイナー作品群に通底する印象で、ある程度聴き込んできたリスナーにとっては格好の味わい深さかも知れない。ボーカルはスッキリとメロディアスで、ギターやハモンド・オルガンのリフ&フレーズはわりと素直にカッコよく、メロトロンやハーモニー・コーラスのハマり、リズム隊の安定感も上々で、キャッチーなのに何かしら浮上を阻むプログレ色が存外に面白い好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Symphonic,Hard,Pops / Jewel-case CD(2025 Re-master) / Paisley Press/German)