ドイツのペイズリー・プレスから、23年新規リマスターでのリシュー。エリアルはおそらくイリノイ州シカゴ出身のグループで、85年に唯一のアルバムとなる本作をUSAリトル・ミスターズからプライヴェート・プレスでリリースしたこと以外は、ほとんど情報がなくて正体不明。メンバーは、マークリスチャンセン、トニー・カンピック、ボブ・シェルドンのトリオ編成で、バンドとゲイリー・コッブの共同プロデュース。概ね、テクニカル指向の見え隠れするジャズ・ロック/フュージョン方面のインスト・プログレを展開していて、例えばギター、キーボード、ドラムのベースレス編成やエスニック要素の取込み方は違うが、同時期のスティーヴ・チベッツ辺りのサウンドに近からず遠からずの印象。楽曲はブルース基調のわりとオーソドックスなフュージョン系というか、メロディアス&ジャジーな佳曲が多く、アレンジもソロの廻しも含め適度に場面転換を交えたオーソドックスなスタイルが基本。JCコーラス系の音色で高速パッセージを弾き倒すギターと、それなりにキープを担いつつも出るところは出るキーボード、どちらかというと緩急を付けながら疾走するスタイルのドラムによるアンサンブルは、バンド感十分でノリもよく、けっこう素直にカッコいい。これでレコーディング機材にもう少しお金を掛けられたなら、もう1ランク上の洗練された音質に出来てもっとよかったのではとも思うが、このちょっと自主制作っぽさのある音色/音質が、結果としてある種の味わいにもなっていて、これはこれで面白くて楽しめる。ほとんど知名度はないかも知れないが、ジャズ・ロック/フュージョン系プログレの線として、ともかくも悪くない好盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Jazz Rock,Fusion / Jewel-case CD(2023 Re-master) / Paisley Press/German)