UK/EUのエソテリック・レコーディングスから、24年新規リマスター&3面デジパック&2CDでのリシュー。音質はクリアで迫力もあってよい。ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーター(VDGG:高電圧静電発電機)は、ピーター・ハミルとクリス・ジャッジ・スミスのデュオ・ユニットとして67年にマンチェスターで結成されたグループで、数度の解散と休止期間を経て、現在も独自の存在感を維持しながら活動を続ける孤高のビッグ・ネーム。本作は、78年にUKカリスマからリリースされたヴァン・ダー・グラーフ名義のライヴ・アルバムで、通算9枚目の作品。78年1月16日ロンドンのマーキー・クラブでのライヴ音源を収録したもので、メンバーは、ハミル、デヴィッド・ジャクソン、ガイ・エヴァンス、ニック・ポッター、グレアム・スミス(ex.ストリング・ドリヴン・シング)の5人に、サポートとしてチャールズ・ディッキーを加えた6人編成。当時でもあまり知られていなかったであろう、フランス盤シングルのB面曲「シップ・オブ・フールズ」で幕を開けるのだが、ともかくも全編に渡ってハード&ヘヴィに炸裂し続けていて、そのパワーの凄さと爆発に圧倒され驚かされる。ハミルの血管切れっぱなしのボーカルと荒々しくヨレまくるギター、割れた音でドライヴしまくるポッターのファズ・ベース、ボンゾ並みの重量感で叩きまくるエヴァンスのドラムに、切り裂くように切り込んでくるヴァイオリンやサックス&フルートが飛び交い、全員で荒れ狂う様は素直に圧巻。最早ノリはパンクに近い印象だが、この超然としたヘヴィネスとダークネスは、ともかくも他に類を見ない無上のカッコよさを放つ。「クワイエット・ゾーン~」期の曲が中心で、このヴァイオレンス感はシンフォニック・プログレ系の愛好家にはおしなべて不人気のようだが、ロックの抱える普遍的な初期衝動と反抗感覚、内省的な心の闇などなどが、表現方法としてのプログレ的ダンディズムとの融合に成功したとても希有な大好ライヴ盤と思う。
輸入盤
(Progressive/Heavy Psyche / Digi-Pack 2CD(2024 Re-master) / Esoteric/UK,EU)