UKのエソテリックからのリリース。ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーター(VDGG:高電圧静電発電機)は、ピーター・ハミルとクリス・ジャッジ・スミスのデュオ・ユニットとして67年にマンチェスターで結成されたグループで、数度の解散と休止期間を経て、現在も独自の存在感を維持しながら活動を続ける孤高のビッグ・ネーム。本作は、11年にリリースされたニュー・アルバムで、08年の「トライセクター」に続く再編第4弾、スタジオ盤としては再編サード、20年再プレス盤。メンバーは、前作と同じハミル、ヒュー・バントン、ガイ・エヴァンスのトリオ編成で、変拍子リフを多用した、非常に重厚なヘヴィ・シンフォニックを展開。夜の香りが漂う落ち着いた雰囲気のナンバーで幕を開けるのだが、その後はわりとヘヴィな怒濤の変拍子ナンバーが連続していて、非常に濃密でタペストリー的な重厚さを堪能出来る。バントンがオルガン以外にもピアノ、ハープシコード、グロッケンシュピール、ベース等々、ハミルがボーカル、ピアノ、ギター、ベースを操っていて、細かくパターンを変えるエヴァンスのドラムが相俟って、ダークなハミル的メロディを軸に独特の盛り上がりを見せる。前作「トライセクター」とはまた違った趣のサウンドだが、何というか聴き込むにつれ発見があって味わいが増すサウンドで、ともかくもカッコいい大好盤と思う。60歳を過ぎてのこのテンションと演奏性の高さは、本当に凄い。
輸入盤
(Progressive/Psyche,Heavy Symphonic / Jewel-case CD(2011) / Esoteric/UK)