USAのA&M/ポリグラムから、94年新規リマスターでのリシュー。スーパートランプは、リチャード・デイヴィスのメン募広告にロジャー・ホジソンが応募してきて68年に結成されたザ・ジョイントを母体とするグループで、オランダの大富豪のスポンサードを受けながらロンドンを拠点に活動を開始、多少のメンバー交代を経て69年にスーパートランプに改名した。「クライム・オブ・センチュリー」や「ブレックファスト・イン・アメリカ」等の大ヒットで知られる、ポップ・プログレ系のビッグ・ネーム。本作は、70年にUKのA&Mからリリースされたファースト・アルバムで、メンバーは、デイヴィス、ホジソン、リチャード・パーマー、ロバート・ミラーの4人編成、リチャード・パーマーは後にキング・クリムゾンの歌詞で著名となるリチャード・パーマー・ジェイムス。概ね、フォーク・ロック、ブルース、クラシック辺りの要素を、サイケなセンスで括ったポップ・プログレ方面で、メインストリーム系のキャッチーさを担保しつつも、全体が浮上出来ないB級アングラ感に収束する面白いサウンドを展開。少しスティル・ライフを彷彿させるオルガン、メロディアスでノリのよいベース、ブルージーさとクラシカルさが同居するギター、堅実で安定したドラム、時折挿入されるリコーダー類やハーモニカによるアンサンブルはけっこう濃密で、特に2,5,7,9曲目等の重厚なプログレ・ナンバー群は素直にカッコいい。インプロで盛り上がるこのダークなアングラ感は、例えばヴァーティゴやネオンからリリースされていてもおかしくない印象で、70年代後半の全米ナンバーワン・ヒットを飛ばしたポップ・ロック時代とは、明らかに一線を画すゴッタ煮系プログレの好盤と思う。
輸入盤/デッドストック入荷
(Progressive/Psyche,Blues,Classic,Pops / Jewel-case CD(1994 Re-master) / A&M/USA)