UK/EUのパーロフォン/ワーナー・ミュージックから、見開きデジスリーヴでのリシュー。スティーヴン・ウィルソンによる23年新規リミックス&リマスター音源。リチャード・ライトはロンドンのハッチ・エンド出身のキーボーティストで、何よりピンク・フロイドでの活動で知られる押しも押されぬビッグ・ネーム。79年の「ウォール」制作中にロジャー・ウォーターズがライトを解雇、その後デイヴ・ギルモア主導のフロイドにメンバーとして復活するが、08年に癌で他界してしまった。本作は、78年にUKハーヴェストからリリースされたソロ名義ファースト・アルバムで、メンバーは、プロデュース兼任のライト、スノーウィー・ホワイト(ex.シン・リジィ,etc)、メル・コリンズ(ex.キング・クリムゾン,キャメル,etc)、ラリー・スティール(ex.ゴンザレス,etc)、レグ・イシドア(ex.ロビン・トロワー,etc)の5人編成、新装スリーヴ(ブックレット掲載のオリジナルLPのスリーヴ・デザインはヒプノシス)。例えば、「サマー'68」、「泥まみれの男」、「ステイ」、「虚空のスキャット」、「アス・アンド・ゼム」、「クレイジー・ダイアモンド・パート2」辺りの、ライト作曲(または共作)のフロイドの曲のエッセンスを基調に、ブルース・ロック、アート・ロック、ポップス、ファンク等々の要素を曲によって適時織り交ぜたような感じのサウンドを展開。ライトの包み込むようなコード感のキーボード群は相変わらず素敵で、ジャジーなアクセントを添えるコリンズの管楽器、カラっと突き抜けるホワイトの涼やかなギター、フロイド的重さが担保されたリズム隊のハマりも上々。あまり派手ではないからだったのか、リリース当時はわりと無視されがちだった記憶だが、浮遊感内包の落ち着いた空気感がとても心地好く、的を射たアンサンブルのバンド感も十分で、実はかなりの好盤と思う。カッコよし!。尚、音質はクリアだがオリジナルに比べて湿った質感に仕上がっている印象。
輸入盤
(Progressive/Psyche,Symphonic,Blues,Pops / Digi-Sleeve CD(2023 Re-mix&Re-master) / Parlophone/Warner/UK,EU)