UK/EUのピンク・フロイド・レコードから、ジェームズ・ガスリー＆ジョエル・プランテの11年リマスター音源を使用しての、見開きデジスリーヴでのリシュー。ピンク・フロイドはロンドン出身のグループで、建築学校の同級生だったリック・ライト、ロジャー・ウォーターズ、ニック・メイソンの3人が中心となって65年に結成したシグマ6を母体として、メンバーとバンド名の変遷を経てライト、ウォーターズ、メイソン、シド・バレットの4人となった時点でバンド名をピンク・フロイドに改名、67年にEMIからデビューした。おそらく全世界で最も著名なプログレ・バンドの1つ。本作は、71年にUKハーヴェストからリリースされたセクス・アルバムで、メンバーは、デイヴ・ギルモア、ライト、ウォーターズ、メイソンの４人編成、スリーヴ・デザインはヒプノシス。概ね、アブドーラ・ザ・ブッチャー他のプロレスラーの入場テーマ曲になった「吹けよ風、呼べよ嵐」、代表曲の1つとなったLP旧B面全てを使う「エコーズ」辺りがよく知られているが、LP旧A面の「ピロウ・オブ・ウインズ」から「シーマスのブルース」までの流れが、英国然としたアーシーなフォーク・ロック感十分で、実はけっこう心地好かったりする。このアンバー＆ジャジーなテイストは、EやGのオープン・チューニングのギターの響きに負うところが大きい気もするが、ウォーターズの少し粘っこいボーカルとギルモアのダミ声ボーカルもいい塩梅にハマっていて、上手いことくぐもった味わいに着地している印象。この4人だけで制作した初めてのフル・オリジナル・スタジオ・アルバムで、各々のこれまでの積み重ねも相俟って、バンド感がプログレ文脈の淡い情感に収束する好盤と思う。「エコーズ」イントロのコーラスをかけたオルガンの音は、もう発明といってもいい。
輸入盤／デッドストック入荷
(Progressive/Psyche,Blues,Folk / Digi-Sleeve CD(2016 '11Re-master) / Pink Floyd Records/UK,EU)
